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無人艇使い海底地殻変動を長期観測 「ゆっくり滑り」検出期待

こんにちは。株式会社Rayoflightの木村です。
以前このブログでも「ゆっくり滑り」についてご紹介しましたが、その動きを観測できる技術が開発されたようです。


東北大と海洋研究開発機構が自動で航行する無人艇を使い、海底地殻変動の長期観測に成功した。観測は、東日本大震災のようなプレート(岩板)境界で起きる地震の規模の想定やメカニズム研究の鍵を握る。有人船舶に比べて大幅な低コスト化と弾力的な運用が可能になり、観測強化を実現できる。


 震災前は海底地殻変動のデータが不足し、マグニチュード(M)9の巨大地震を想定できなかった一因となった。観測の重要性が増す中、今回の成果は長期連続観測に向けた一歩となる。
 無人艇は全長3メートル、幅80センチ。波力で進むため燃料が要らず、有人に比べて費用は10分の1以下で済む。6月21日から約40日間かけて東北大の観測点14カ所を巡回し、衛星利用測位システム(GPS)で位置を特定しながら海底局と呼ばれる機器との距離を音波で測定。地殻変動の把握に必要なデータを収集した。
 解析の結果、観測精度に問題はなかった。東北大はこれまで機構や民間の船を借りて観測しており、費用や日程の関係で年1、2回に限られていた。無人艇の併用により、効率的な観測態勢を構築できる。
 
 今後期待されるのが、プレート境界が揺れを伴わずに、数日~数年かけて低速でずれ動く「ゆっくり滑り」の検出だ。
 巨大地震が切迫している南海トラフの広い領域で確認され、震災でも直前に起きていたことが分かっている。プレート境界で周囲の固着域へのひずみを増加させ、地震の引き金になる可能性がある。近年、地震学で注目を集める研究領域だ。
 陸と異なり、海底の地殻変動は観測網が限られ、「ゆっくり滑り」の検出は困難だった。将来、無人艇による高頻度観測で発生をほぼリアルタイムで捉えられれば、巨大地震との関連を理解する手掛かりとなる。
 
 発生から9年8カ月が過ぎたが、震災もいまだに謎が残る。本震では日本海溝付近のプレート境界の浅い部分が大きくずれ動き、津波が巨大化した。普段は固着せず、地震時のプレート同士の滑りが弱まる場所とみられていただけに、海底での観測が解明には欠かせない。
 東北大の日野亮太教授(海底地震学)は「プレート境界の浅い部分で、固着の有無などを詳しく調べることが重要だ。震災の震源域に隣接し、ひずみ蓄積の加速が懸念される岩手から青森沖での観測も強化したい」と話す。

◎余震回数22分の1地震活動なお活発


東日本大震災から9年目の1年間で起きた震度1以上の余震は373回で、震災後1年間(8112回)の約22分の1にまで減った。9年間の総回数は1万4245回。地震活動は時間とともに衰えつつあるが、震災前より活発な状態に変わりはない。
 毎年3月11日午後2時46分を起点にした年別の余震回数は表の通り。余震域は青森県から千葉県の太平洋沖を中心に東西約350キロ、南北約640キロに及ぶ。震災前にこのエリアでは震度1以上の地震が年平均306回起きていた。
 大きな余震も減少し、マグニチュード(M)4以上に限ると9年目の1年間では175回。震災後1年間(5383回)の約31分の1となった。
 9年目でMが最も大きかったのは、2019年8月4日に福島県沖でM6.4、最大震度5弱を観測した地震。大地震となるM7以上の余震は、16年11月22日に福島県沖で発生したM7.4、最大震度5弱の津波を伴う地震が最後になっている。
 
気象庁は「今後も余震域やその周辺の内陸部で規模の大きな地震が発生する可能性がある」として、引き続き強い揺れや津波への警戒を呼び掛けている。


[海底地殻変動観測]
日本海溝では太平洋プレートが陸側プレートの下に沈み込み、海底で地殻変動(地面の動き)が生じる。東北大は、GPSで位置が分かる船舶と海底局との距離を音波で測り、変動の方向と量をセンチ単位で把握する。プレート境界には地震を引き起こすひずみがたまる固着域があり、海底地殻変動の観測から場所や状態を推定できる。

◇東日本大震災の余震回数

〔注〕気象庁資料に基づく。震度1以上。いずれの年も3月11日午後2時46分から1年間。

河北新報オンラインより引用 https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202011/20201130_73023.html

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